要件定義なきシステム開発は砂上の楼閣 —失敗から学んだ原則—

AI支援で3000行のVBAシステムを構築した実録

「これ、そんなに難しくないと思うんだけど」

軽い。あまりにも軽い一言だった。

「パパッと作れる?」

私は、その言葉を疑わなかった。

こんにちは。Project Harmony代表、ITコンサルタントの歌書です。SEとして長くシステム開発に関わってきましたが、今回、AIを相棒にして、結果的に300行を超えるVBAを書くことになります。……が、その話はまだ先です。まずは、私がやらかした、どうしようもない失敗から。

仕様書は、なかった

依頼は口頭だけ。仕様書なし。画面イメージなし。業務フロー? そんなものもない。

「Excelでちょっと仕組み化できればいい」

その言葉を、私は真に受けました。

「まあ、Excelだし」「VBAだし」「なんとかなるだろう」

完全に、油断していました。

納品日、目の前にあったもの

開発を終え、納品日。私は、凍りました。

目の前にあったのは、Mac。

一瞬、思考が止まります。

VBAは、動きません。

私が恐る恐る言うと、「Windowsにできて、Macにできないことなんてないでしょ」

……理屈は、わかる。でも、現実は動かない。

とっさに私は言いました。「では、このWindowsのノートPCを置いていきます。この作業だけ、これでお願いできませんか?」

返事は即答でした。「Windowsはわからない。あなたが代わりにやってほしい」

こうして私は、システムを納品しに来て、実務を請け負う人になりました。

「当たり前」が、次々と崩れる

嫌な予感は、的中します。話を聞けば聞くほど、前提が違う。

  • Windowsだと思っていた → Mac
  • 1人1アカウントだと思っていた → 使い回し
  • 実行環境は整っていると思っていた → 何もない

私の中の「普通」が、一つずつ、崩れていきました。

でも、原因は明白です。確認していない。要件定義をしていない。相手のせいには、できません。

仕切り直しは、コードの前に

ここで、腹をくくりました。「一度、全部止めましょう」

次にやったのは、コードを書くことではありません。図を描くことでした。

BPMNで、業務フローを描く。まずはBefore。現状の問題を、5つ。次にAfter。改善点を、5つ。3日かかりました。

でも、図を見た瞬間、空気が変わった。

「なるほど」「今、こうなってるんですね」

言葉では噛み合わなかったものが、一枚の図で揃いました。

無料ツールもあります。作成の過程でAIも、そう勧めてきます。それでも私は、VISIOを使いました。「プロとして、ここは外せない」その判断だけは、間違っていなかったと思っています。

砂上の楼閣だった、という話

そこから先は、早かった。迷いが減り、判断が揃い、作るべきものが見えた。

気づけば、VBAは3000行。最初に想像していた「パパッと作れるExcel」とは、別物でした。でも、ようやく使えるシステムになりました。

要件定義をしない開発は、砂上の楼閣。AI時代になっても、「何を作るか決める」工程の重さは変わらない。

これは、その実録です。


このような業務フローの可視化(BPMN図作成)を、ココナラで承っています。「うちの業務も整理したい」という方は、お気軽にご相談ください。

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